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上野から根岸


晴天なり。
昼過ぎにヨコスカを発って、上野広小路へ。
鈴本演芸場、5月中席・昼の部を途中から観る。

桂藤兵衛さんの「王子の狐」、アサダ二世さんの奇術(飄々&貫禄)、
桃月庵白酒さんの「あくび指南」(若かりし頃のフランキー堺をおもいだしたり)、
柳家喜多八さんの「へっつい幽霊」(やるきない&顔色悪いキャラがはまってる!)、
そして、ギター漫談のぺぺ桜井さん。ひたすらにわが道をいく芸風は、もはやシュール。
「ギター弾きながらハモニカ吹きつつ歌も唄います」って、、、。
かすれたハモニカの音色と師匠の唸り声が鈴本の客席を容赦なく突き刺す。。。
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主任(トリは)古今亭志ん橋さん。噺は「火焔太鼓」。
洗練とか粋とは一味違った語り口。一本気で無骨で人情味にあふれてて。
おっちょこちょいな職人、気の強いおかみさん、青っ洟たらした小僧さん。。。
どれも志ん橋師匠の真面目な熱演がかえって可笑しくて。
ジワジワと観客をひきこんで、最後は爆笑を呼ぶ。
ぺぺ師匠も志ん橋師匠もほぼ寄席でしか観られない芸人さん。
立川流とかもモチロンよいけれど、また違った世界もゼヒ体験していただきたいです。

寄席がハネたあと、まだまだ街は明るい。日差しもしっかり。
さて、どうしましょ。。。って、今日は行き先きまってる。
ぶらりぶらりと根岸まで。
言問通りを一本入った狭い路地。
江戸情緒を残す居酒屋として名の知れた酒場を初訪。
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古い小さな一軒家。 暖簾をくぐって開け放たれた引き戸の中に入ると、
まだ開店まもない店内は薄暗くて静かな空間。
8人ほど座れるカウンターと小上がりに数卓。
暑かったのでビールの小瓶を頼んで、お通しの芥子醤油の煮豆をつまむ。
肴は大根おろし(しらす入り)とこの家の名物とされる鰻のくりから焼き。
櫻正宗のお銚子も2本ほど。ご主人が目の前の燗付け器で丁寧につけてくれる。
ゆるりと盃を傾けつつ、さくっとお勘定。

この建物は大正期のものらしい。江戸を感じさせる名店ということだけど、
店内の雰囲気よりは「煮奴」とか「かまぼこ」に「たたみいわし」といった
多くはないけれど少数精鋭な品書きに、はるか昔の居酒屋の趣を感じたなぁ。

じつは今の建物へは、昭和40年代の終わりに道路拡張のため、すぐ近所からの移転を
余儀なくされたとのことで、それまでは江戸安政の頃にたてられた家で商ってたのでした。
その建物が現在小金井公園の江戸東京たてもの園に移築保存されてて、
去年偶然訪ねたんだった。
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ここはねぇ、よかったですよ。
呑むならやっぱりこちらがよいですよ。
谷崎、荷風、百鬼園に木下順二や山口瞳もこのカウンターで一杯やってたらしい。
ふだんは見学のみだけど、年に数回は実際にお酒を呑ませてくれるイベントもあるらしくて。

・・・いいなあ。
by hey_leroy | 2009-05-18 23:17 | laughin'

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


by hey_leroy