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朧夜の女


仕事を定時に終えて、(またまた)神保町に急ぎます。
神保町シアターでの特集上映「映画と酒場と男と女」。
上映ギリギリに到着。 客席は八割方埋まってる。
結構人気あるんだなあ。 
今日は、五所平之助監督の 『朧夜の女』 (昭和11年・松竹大船) を。 
この特集3本目の鑑賞。
朧夜の女_f0160346_1982.jpg

面白かった。
ストーリーはメロドラマっぽいけど人情喜劇の要素もあったりして、2時間弱見飽きない。
もっと古臭い展開かと思ったけど、現代でも十分楽しめる。
昼メロと橋田ドラマと山田洋次系があわさったような。

大学生と、年上の元芸者の女との悲恋が軸ではあるのだけど、
息子を溺愛する母親や、お人よしの叔父、気の強い叔父の妻などのやりとりが
おかしみを誘う。
また、随所に昭和11年当時の下町情緒が感じられて、そこがとっても興味深かった。
住んでいる家のセットも、小道具が細かくて当時の暮らしぶりが伝わってくるし、
ほかにも、寄席(講談の小屋)、蕎麦屋、牛鍋屋、染物屋、居酒屋、銀座のバー・・・
これらはセットだけど、ロケでは当時の大川(隅田川)沿いの景色が収められている。
これだけ当時の風俗がつめこまれた映画は、あまり無いんじゃないかな。

男性以上に、女の人がやたらとキセルや煙草をふかしまくってたり。
そういや、明治22年生まれの曾祖母や大正元年生まれの祖母も、僕が子供の頃は
ずいぶんとふかしていたっけ。 ばあちゃん部屋はいつも煙モクモクだった。
副流煙吸いまくりだったなあ、あの頃は。

主演は、徳大寺伸、飯塚敏子。 母親役の飯田蝶子の息子を信じきっている姿が
初めはおかしく、次第に哀れみを覚えるようになる。 名演。
というか、出演者、僕はほとんど知りません。
かろうじて、「三等重役」などの河村黎吉と、その後、後年まで活躍を続けた佐分利信くらい。
あとは、学生役の徳大寺伸が、オードリー春日に見えて仕方が無かった。
学生服のパッツンパッツン加減や、過剰なんだか足りないんだか良く分からない演技が・・・。

しかし・・・自分のこの昭和傾向、この先どこに向っていくのか。
小津も黒澤も実のところ、あまり観ていないのに。
基本は喜劇映画から入ってはいるのだけど。

でも、未知の大海が目の前に広がっている気分は、悪くない。
by hey_leroy | 2010-08-24 23:59 | movie

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


by hey_leroy