人気ブログランキング | 話題のタグを見る

食味歳時記

食味歳時記_f0160346_1214092.jpg

『食味歳時記』獅子文六著(文藝春秋社)

先日読んだ吉田健一の文章の読み難さから一転、獅子文六センセイのは随分とフランク。平易で人懐っこい文章。2人とも明治生まれで裕福な環境に育ち、若くしてフランスに渡っているという共通点があるけれど、その後の文筆家としてのスタイルは大きく異なってます。
獅子文六は、つねに大衆に寄り添った作品を書いていました。多くの小説が新聞連載であったり、のちにドラマ化・映画化されているということもそれを示してると思います。「自由学校」や「大番」などなど。当時人気作家だったのに、今はほとんど絶版で入手困難なのが残念。

この『食味歳時記』は昭和43年に雑誌ミセスに連載された文章など、食にまつわる随筆をまとめた本。昭和44年に76歳で亡くなるので、最晩年の作品ということになります。ほぼ同じ内容を『わが食いしんぼう』(グルメ文庫)で現在読むことが出来ます。おすすめです。

明治の頃少年時代を過ごした横浜や、留学先のパリ、戦後疎開した四国宇和島、そして東京赤坂と神奈川大磯での暮らしの中で出会った食べ物や飲み物の思い出を、1年12ヶ月それぞれの季節感とあわせてつづっています。病気で胃の大部分を切除したため昔ほど食べられないことを憂いつつ(食べすぎではなく呑みすぎが原因だとか。こわ。)、年代相応の食べ方、美味の感じ方があることを語ってます。とはいえ、胃潰瘍の手術の半年後に一度に鮎の塩焼き26匹も食べるとは・・・。色々な時代、色々な土地、色々な食べ物。話題豊富でユーモアがあって、楽しい読物です。

自分は、鯵の刺身と茹でたてのそら豆が無性に食べたくなりました。早く初夏がこないものか。


夜。少しお酒がのみたくなったけど家になんにもなし。わざわざ買いに出る気もおきず。う~ん。ふと、サングリアを作るときに買ったコアントロー(ミニチュア瓶)があったのを思い出し、ロックでやってみる。オレンジ風味の甘~いGINのような。1杯にて終了。これはこれでアリだ。アリだけど、そこまでして呑みたいのか。
by hey_leroy | 2011-01-26 23:29 | books

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


by hey_leroy