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どじょうな日


おととい古本屋の100円コーナーで買った『駒形どぜう噺』(小学館文庫)を電車の中で読んでたら「どじょう豆腐」の話がでていた。

活きたどじょうを鍋に入れて火にかける。鍋の真ん中には豆腐が一丁。だんだん熱くなってくると「辛抱たまらん!」とばかりにどじょうたちが豆腐の中に逃げ込んで、あとでフタを取ると、鍋には豆腐しかなく、どじょうはみんな豆腐の中・・・。

何年か前に吉行淳之介の随筆で知った話。昔から伝わるネタで、実際にはこのようにはならないとの事だけど、「いや、確かに豆腐に潜り込んでたのを見た!」という御仁もあるらしい。

『駒形どぜう噺』は、ご存知、創業200有余年の老舗「駒形どぜう」の先代当主、5代目越後屋助七さんが書いた本。どぜう屋の歴史やどぜう料理について読みやすく記されていて、肩ひじ張らずに楽しめる。地元誌だか業界PR誌だかに連載されていた文章をまとめたものらしい。軽めの読物なので、スルスルっと読了。そのまま、同じときに買った『向田邦子全対談』(文春文庫)を読み始める。読み応えたっぷり。水上勉、江國滋、山藤章二、二子山勝治、和田誠、吉行淳之介ら16人の男性と、唯一の女性、澤地久枝との対談を一冊にまとめたもの。対談相手によって向田さんの表情やトーンが全然違って感じられる。いろんな雑誌に掲載された原稿を集めているので、編集者の個性や雑誌の性質によってバラエティ豊かな印象を受けるということもあるのだろうけど、それにしても濃い内容だ。 少女のようで少年のようで、でもれっきとした大人の女性で。対談相手の男性達はみんな向田邦子の魅力に参ってしまっているように感じる。もちろん、読み手も。1981年に飛行機事故で当人が亡くなってしまった後に編まれた本で、対談相手がそれぞれ短い文章を寄せていているのが切ない。

いいなあいいなあと思いながら読みすすめていたら、阿川弘之との対談で、向田邦子が「どじょうの地獄煮というのを作ってみたんですよ」と、上記の「どじょう豆腐」を実践したエピソードが披露されて、偶然とはいえちょっと驚く。 同じ日に立て続けに目にするなんて。今日はどじょうの日かい? ごくたまにこういう事がおこる。 ただそれだけだけど。なんとなく面白いなぁ。

ちなみに向田さんが試してみたところ、鍋の中で暴れたわりには1匹も豆腐の中には入ることなくご臨終になったらしい。そして、そのどじょうは食べなかったらしい。
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明日は両国国技館に「技量審査場所」を観にいく。浅草まで足をのばして駒形でどぜう鍋でもつつきましょうか、という気分になるが、いやいやそんな豪遊?してる場合ではない。相撲も無料で観れるのだし、つつましく過ごすのだ、と自分に言いきかせてみる。

梅雨が明けて暑くなってくるころが、身はやわらかく脂ものって、いちばん美味しい時期らしい。そのあたりに繰り出してみたいものであるのことよ。


きょうのお弁当。
豚肉と白菜の中華風あんかけご飯、なめたけ、オクラ梅おかか。
あんかけご飯、オフィスにあった中国土産のラー油をかけて食べたら美味でした。
少量で汗かいた。

このところ日付が変わる前に布団に入って、朝6時前、アラームより早く目覚める日がつづいてる。 体調が良いんだか悪いんだか。 ま、不健康的にすごすよりは良いのでしょう。
by hey_leroy | 2011-05-12 21:36 | books

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


by hey_leroy