ラジオのこころ
2012年 11月 09日
布団のなかで、小沢昭一の「ラジオのこころ」(文春新書 2012年)を一気に読む。
横須賀・米ヶ浜の隠れ家的小料理屋の女将さんが貸してくれた。
ありがたや。
ご存知TBSラジオの名物番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」。
昨年は放送一万回、そして、まもなく40周年をむかえる。
その近年の放送から、小沢さん自身が10篇を選んだ傑作集。
80代半ばにして口角泡を飛ばしつつ、世相・風俗へのおもいをユーモアに包んでしゃべくる。
文章になっても、その話芸は読み手に痛快に伝わってくる。
その場で行き当たりばったりに駄弁っているようであるけれど、実は台本があって、人知れず稽古をかさねて自分のものにしてから収録に臨んでいるとのことで、じつは役者魂がこもっている番組なのであった。そうは見せないところが、さすがの仕事ぶりなのです。
「最近ボケがすすんでぇ」 などとトボケたりして、いやいや、時代がかわろうとブレることがない視線は健在で。巷で流行っていること、支持されているものでも、おかしいとおもったら声高にではなく、笑いのベールをかぶせて「NO」と言う。そして、ちょっとしたお色気バナシも挿むところが、全国のお父さんたちをニンマリさせる長年の伝統でもありますナ。
小沢さんはこのところ体調をくずされて静養中。番組では過去の傑作選を放送している。この本に収録されてるものも多い。 あのお話しぶりを思い出しながら、活字を目で追っています。
早く元気に復帰してほしい。