スリム、参上!
2013年 08月 04日
日曜夜9時。先客はなし。常連猫ちゃんもいない。
バーボンのエズラ・ブルックスをオン・ザ・ロックでいただく。
スピーカーからは "Charlie Parker on SAVOY" が流れている。
LPでたしかVol.3まで出ていたやつ。
ママさんと話してて、
「そういえば20年くらい前に店に来た黒人さんが、今かけてるVol.2をリクエストして、レコードにサインしていったのよ。誰だかわからないんだけど、自分は有名なんだみたいなこと言ってた。本当かしらねぇ・・・」
なんだか胡散臭いねぇ、なんて話しながら見てみると、
これは・・・
もしや・・・
・・・およよ?
Slim Gaillard(スリム・ゲイラード) ではないか!?
たしかに、このVol.2にはSlim Gaillard and his Orchestra名義で"Flat Foot Floogie"ほか数曲が収められてるのだ。そして、サインの前後には彼のキャッチフレーズともいうべき"In Vout"の文字が。間違いない!
ワオ! すっげー!
・・・って、この気持ちが伝わる人がどれほど・・・あ、何人か顔がうかんだ。
Slimさん、いわゆるジャズファンからは黙殺されている存在というか。
ボーカル、ギター、ピアノにドラムやタップダンスまでこなす。
キワモノすれすれで踏みとどまる、ヒップでジャイブなエンターテイナー。カッコいいんだ。
実際にSlimさんは1987年と1988年と続けて来日している。25年ぐらい前なので、ママさんの記憶ともだいたい合致するし。ライブのついでに、横須賀の米軍基地を慰問したのかな?
店には何人かで来たらしく(サインにあるBillやArnoldかな?)、ママさん、顔はもう覚えていないけど「あの頃の黒人さんはみんなおしゃれだったわね~」って。サッチモがW.C. Handyのブルーズをプレイしたアルバムを見つけて大層よろこんでいたそうな。
スリム・ゲイラード。1916~1991年。
ヨコスカの小さなジャズ喫茶への来店の痕跡が、何者かナゾのまま20年以上もレコード棚に埋もれていたとは!
ひとり怪しくニンマリするオレ。