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読んだもの備忘録

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『 モーニング物語 獅子文六短篇随筆集』   (1995年 木鶏社)

 獅子文六(1893~1969)の随筆集。没後25周年ということでの発刊か? ここ数年、小さなブームになっているようだけど、1995年あたりにも注目されていたのかな。 
 生まれ育った横浜、疎開していた四国、移り住んだ大磯、遊学していたフランス・・・。それぞれの場所での思い出の酒食のこと。心に残る人たちのこと。 そして家族のこと。 自伝的小説「娘と私」を読んでから、文六先生の家族が出てくる随筆を読むと、なんだかジーンとしてしまう。どの文章も、明快でサッパリしていて、リズムがあって、グイグイ読める。それでもってなんだか情緒もあるのだ。大きめの活字で余裕のある行間なので読む方の気分もゆったりしてくる。同時に出版されたと思われる随筆集「山の手っ子 町っ子」も読んでみたい。


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『 仮寝の宿 』   中里恒子 (中公文庫 1979年)

 この著者が書いた別の本のことが気になってたのだけど。 古書店で名前をみつけたので手に取ってみた。昭和の女流作家による、昭和50年の日本国内紀行。京都、厳島、熊野、函館、興津、松江などを訪ねる。名所めぐりにこだわることもなく、思うままに土地土地を楽しむ。 京都の俵屋、松江の皆美館、熊野のあづま屋など旅館は自分でも耳にしたことがあるような一流どころばかりなり。単行本はJTB絡みでの刊行とのことで。内容に、正直、目新しさや刺激はない。まさに昭和の女流作家が書いた紀行文といった趣き。なんというか。しとやかで、雅(ミヤビ)過ぎず、好奇心旺盛で、歴史やいにしえの詩歌に詳しく(当然か)、ちょっと気も強そうで。でも、嫌いじゃないです。熊野、行ってみたい。金比羅さんにも。

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 ページの間に挟まれていた、ドンピシャ30年前の県立近代美術館の半券。この文庫本を買ったのは鎌倉・由比ガ浜通りの古本屋。地元の人が処分したものだったのかな。美術館の入場料700円は現在も変わらず。そして、あと1年ほどで閉館の見通し(鎌倉本館)。 今回の本については、この半券が最も印象深かったりして(殴)。・・・中里恒子さん、近年映画化された「時雨の記」の原作者なんだ・・・知らなんだ。女性初の芥川賞作家でもある。ほかに「歌枕」「わが庵」など。1909~1987年。
by hey_leroy | 2015-03-21 22:45 | books

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


by hey_leroy