唄めぐり

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『唄めぐり』   石田千  (新潮社 2015年)

いい仕事をされてるなぁ。

石田千さんは、最初の単行本から10余年、読み続けている作家さん。
ほぼ随筆。小説も数作有り。
その文章は、穏やかで、芯があって、澄んでいる。

今回の本は、日本各地をたずねて、その地の民謡を取材したもの。
芸術新潮に連載されていた。
もともとラジオの民謡番組に親しんでいたという石田さん。

北海道から沖縄まで、25の地域の唄と、ひと。
唄にまつわる場所、人をめぐり、自分も唄ったり、踊りの輪に入ったり。
そしてお酒もいただいたり。

羅列好きだから、並べちゃお。

秋田米とぎ唄(秋田)、こんぴら船々(香川)、ダンチョネ節・三崎甚句(神奈川)、
安里屋ゆんた(沖縄)、南部俵づみ唄(青森)、木曽節(長野)、佐渡おけさ(新潟)、
こきりこ(富山)、三味線餅つき(徳島)、刈干切り唄(宮崎)、げいび追分(盛岡)、
草津節・草津湯もみ唄(群馬)、牛深ハイヤ節(熊本)、大漁唄い込み(宮城)、
壬生花田植唄(広島)、安来節(島根)、綾はぶら節・今ぬ風雲節(鹿児島)、
河内音頭(大阪)、ヤイサマネナ・江差追分(北海道)、
筑前今様「呑み取り槍」・黒田節(福岡)、伊勢音頭(三重)、
最上川舟唄・酒田甚句(山形)、会津磐梯山(福島)、丸の内音頭・東京音頭(東京)、
あまちゃん音頭・新生相馬盆唄(福島)

農業、漁業、林業、酒造、海運や川下り・・・仕事の労苦と喜び。
神様への感謝。 自然への畏怖。 
祭り。日常の営み。 
生活は唄と密接だった。

そして、唄も旅をする。
人とともに旅をして、流れつき、種をおとし、花を咲かせる。

消え去ろうとしていたり、バラバラになってしまいそうな唄をまとめあげた先人たち。
ただ唄い継がれてきたというものではなく、それぞれに、なんとか遺すための尽力があった。

プロの歌い手さん(お師匠さん)も何人か登場するけれど、ほとんどは地元で仕事や家事の傍ら唄い継いでいる人たち。保存会だったり、高校の活動だったり。

読みながら、ときおりyou tubeで唄を検索して聞いてみたり。

旅に出たくなる。 当然のことながら。

挿入されている写真は、石井孝典氏による。いしいしんじ氏の実弟。
いしいさんのweb日記で名前はよく目にしていた。 
腰を据えて唄っている方々の姿、すばらしい。
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by hey_leroy | 2015-06-28 22:15 | books | Comments(0)
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