鎌倉・大町にある本屋さんを初めて訪ねる。古本、リトルプレスの小冊子、雑貨などをあつかうお店。可愛らしいものもあり、古書は品よくセレクト。北九州市のフリーペーパー「雲のうえ」があったのはうれしかった。
ちょこっと買いもの、しました。
一隅では活版印刷のプチ・イベントが催されていた。
活版で刷られた書籍少々と、ブックマークやポストカードなどの雑貨たち。
ついいろいろ手に取って、手触りをたしかめたくなる。
少し厚手の紙に、活字の凹凸。温かみがある。
活版印刷でおもいだすこと。
18歳まで吉祥寺に住んでいた。
お隣には、初老の女性が、勤めに出ている娘さんと2人で暮らしていた。
タザワさんといった。
小学校に上がる前からの4~5年間、しょっちゅうタザワさんちに遊びにいってた。
タザワのおばさんは、自宅で活版印刷の活字組みの仕事をしていた。
玄関を入るとちょっと薄暗い茶の間があって、その奥に三畳ぐらいの仕事場。
棚にはぎっしりと鉛の活字が詰まっていた。
そして、油やインクの匂い。
そこで印刷をしていたわけではないので、試し刷り程度の設備だったんだろう。
遊びに行くと、たいてい茶の間で絵を描いたり、おしゃべりしたり、おやつ食べたり。
3つ下の妹もいっしょの時が多かった。
たまに、仕事場の活字の棚をのぞいた。
自分の名前とか簡単な文章とか組ませてもらったこともあったっけ。
目当ての字を探すのが大変で。
活字はずっしりと重量感があって、カッコよかったなぁ。
その後、友達と遊ぶほうに夢中になって、疎遠になってしまった。
引っ越す際に、挨拶はしただろうか。
憶えていない。
おばさんは、もう旅立たれている。
そうだ、タザワのおばさんには、花札の手ほどきをうけたんだ。
小学低学年でイノシカチョウやらハナミデイッパイやら・・・。
当時はめずらしくもなかったと思うけど。
そろそろ、こんな季節でやんすねぇ。