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独居老人スタイル

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『独居老人スタイル』  都築響一 (筑摩書房 2013年)


都会で、地方で、ひとりで暮らす老人たちのドキュメント。

高齢化社会真っ只中のニッポンへの痛烈なナントカ!

・・・というよりは、「ザッツ都築響一スタイル」な本。
独居老人がテーマというけれど、都築さん好みのかなり個性的な人たちを集めたら、結果みんな老人だった、みたいな。

ガツンとくるし、じんわりともくる。
いや、ざわざわくる、かな?

登場する「独居老人」は16人。
アーティスト・秋山祐徳太子からはじまり、首くくりパフォーマンスのアクショニスト、スナック・ママ、道化師、漫画家、日本舞踊家、民謡歌手、画家に写真家・・・早稲田松竹のお掃除係の女性も(トイレを飾るオブジェ、おぼえてる人いるのでは?)。

四谷荒木町で流しをしている新太郎さんと、福島県で50年前に閉館した映画館をずっと整備し続けている本宮映画劇場の主、それからオリンピック直前の銀座や大阪の万博会場でストリーキングした”ダダカン”氏のことは何かで見て知ってたけど、16人全員の今まで、そして現在。人に歴史ありとはよくいったもの。深いのか深くないのかよくわからんけど、面白いことは間違いない。日経の「私の履歴書」ばかりが世の中なのではない。

前向きも後ろ向きもない。ずっと今を生きてきて、気づいたら老人という年代になっちゃった人たち。まわりからどう思われようが、気持ちいいぐらいに我が道をいってて。そんな姿を見て、こちらが「しあわせに生きる」とか「豊かに暮らす」とか、陳腐な常套句のことをウスラボンヤリ考えたりして。

こちとら、なんつったって、もう中年も中年。老人というものの背中がぼんやりと視界に入ってきているのだ。・・・見えてないとは言わせない。しっかし、あたり前のことながら、老人との距離っていうのは、年々縮んでるのだよねぇ。

これからの人生の指針になる本か?と問われれば「いやぁ・・・」などとお茶を濁しつつ、本棚の隅にはページがちょっと手垢で汚れたこの本が収まっている・・・てな感じになりそうな一冊。 いろんなスタイルがあるっていうのを知ることは良いことだ、うん。




by hey_leroy | 2016-03-25 22:54 | books

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


by hey_leroy