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茶話


『完本 茶話 (上)』 薄田泣菫 (冨山房百科文庫)

偶然本屋で手に取った一冊。
大正4年から昭和5年にかけて、大阪毎日新聞などに
掲載されたコラム、全811篇を上中下3巻に完全収録したもの。
上巻には大正4~6年に執筆されたものが載っている。

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著者は薄田泣菫(すすきだ きゅうきん)というひとで
もともとは詩人らしい。

新書サイズながら2段組みで、本文もルビも旧仮名づかい。
ゆっくりゆっくり読み進める。

内容はというと、洋の東西を問わず、古今の故事や逸話を紹介し、
そこから大正当時の政治家や芸術家、役者に坊さんなどへの
強烈な皮肉に着地するというもの。

登場するのは知らない人たちも多いけど、
大隈重信、幸田露伴、夏目漱石、横山大観に
リンカーン、カーネギー、トルストイ・・・など
知ってる名前もたびたび見つけられます。

よくもこれだけネタがあるなあ、という薄田氏の博識ぶりも
さることながら、その辛らつな皮肉っぷりにも恐れ入りました。
・・・辛らつさの中にもユーモアがあるところが面白い。

大正時代はまだ大らかな空気が漂っていたのかな。
ちなみにほとんどの文章は匿名で掲載されていたみたい。

小ばなしだったりゴシップだったり、まさに「茶話」といった趣き。
人間の欲やプライドにまつわる悲喜劇。
文章はちょっと読みづらいけど、補って余りある面白さ。

少し間をおいて、中巻・下巻も読んでみたくなった。
by hey_leroy | 2008-05-07 15:54 | books

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


by hey_leroy