カテゴリ:ことば( 5 )

粋と了見


「了見」という言葉。
今や、落語とか昭和以前な言い回し(?)でしか耳にしない、いわゆる"死語"な印象。
でも、いい言葉だなぁと思う。

「~~とは、どういう了見だぁ!?」
「まったく、狭ぇ了見だぜぇ」

・・・否定的なシーンで使われることが多いイメージか。

いわゆる「考え」という意味だけれど、思慮や分別といった、ちょっと深さや奥行きを感じさせるというか。
オトナが使う言葉だなぁ。

ずいぶん前、贔屓の噺家、古今亭志ん橋さんが座右の銘的に「粋と了見」という言葉を雑誌に載せていて、その時は"へぇ"ぐらいにしか思わなかったのだけど、それでも頭の片隅にはなんとなく引っかかっていたようで。

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これこれ。もう雑誌自体は手元にないのだ。

自分としては、粋っていうのは今さら目指そうとしたってどうしようもないけど、大人の了見を身につけるっていうのは、これもまぁ難しいとしても、意識はしていたいなぁと思った次第で。

政治やら、なりふりかまわぬ感じのJASRACやら、世の中そんな狭い了見じゃぁいけませんや、というのがハナシの発端ではあるんすケドね。




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by hey_leroy | 2017-02-05 20:51 | ことば | Comments(0)

如月閑話

『人間は、そう何にでも関心を持つはずのものではなし、そう何もかも終始心にかけているものではないのに、何かが起こると、まるでその問題を半生かかって考え抜いてきたような発言をする。‥‥何か発言しなくてはならぬにしても、自分にとって最も切実なことだけを口にするという習慣を身に着けたらどうでしょうか。本当に言いたいことだけを言い、本当に腹が立つことだけに怒り、大袈裟に言うと、「これがなければ自分は生き甲斐なし」と思うことだけを求める‥‥いわゆる社会の不安などそれでだいぶ落ち着き得るのではないか』 「平和論の進め方についての疑問」 福田恆存 (『中央公論』1954年12月号)

昭和29年の文章。当時の評論家・文化人に向けた言葉と思われる。最後の一文など、情報化社会の現代では説得力は無い気がする。 でも、一億総評論家、そして一億総ツッコミ時代といわれる今、ちょっと心に留めておくべきなのではと思う。 ちなみに、こんな難しそうな論文を自分が読んだわけではもちろんありません。太字部分を以前知り合いがSNSに上げていたのをメモっておいたので。
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by hey_leroy | 2015-02-05 06:05 | ことば | Comments(0)

日にち薬

ひにちぐすり。

こないだ読んでいた田辺聖子さんの『 姥ざかり花の旅笠 』に出てきて、初めて知った。
関西でつかわれている言葉とのこと。

悲しいことやつらいこと、体の不調も、月日が過ぎることで薄紙がはがれるように少しずつ良い方向にむかっていくでしょう、という意味。自然治癒力に期待するというか。逆に「すぐには解決しないよ」ということでもあるのかな。お医者さんが患者さんに言ったりもするらしい。

こういった内容のことを自分自身で感じたり、人に伝えたりする機会はたびたびあると思うけど、それを「日にち薬」という一語であらわすこの言葉は、その語感のやわらかさも含めて、素敵だなあと思う。いろいろな言葉をならべなくても「それには日にち薬ですね」とだけ言えば思いが伝わる、みたいな。

日本人がもっていた(過去形かよ・・・)表立たない思いやりとか心くばりの気持ちが込められた言葉って、ほかにもあるんだろうな。


言葉といえば、タイムリーいうかなんというか。
新作映画のことは疎いんだけど、今月、三浦しをん原作の 『舟を編む』 が映画化公開とのこと。
とある出版社で、新しい辞書の編纂に情熱を傾ける人たちの話。
松田龍平、宮崎あおい、小林薫、八千草薫らが出演。
ちょいと気になります。 公式HP
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by hey_leroy | 2013-04-04 23:23 | ことば | Comments(0)

Life Goes On

朝、出がけに本棚を眺め、あっ、と思い出して、ポール・オースターの『スモーク&ブルー・イン・ザ・フェイス』(新潮文庫)を抜きだして出発。通勤の車中で、そのなかの掌編 『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』 を久々に読む。

1990年のクリスマスにニューヨークタイムズ紙に掲載された、フィクションともノンフィクションともつかない独特の雰囲気を持つ短い小説。ブルックリンの街角の食堂で語られる、温かくてちょっとビターなクリスマスのできごと。この文章が映画監督ウェイン・ワンの目に留まり、のちに映画『スモーク』へとつながっていく。映画は、クリスマス・ストーリーの語り手である煙草屋の店主や客たちをめぐるエピソードを、淡々と、深い味わいで描く。見てない人は、ぜひ。ハーヴェイ・カイテル、渋いです。そして今日読んだ本には、『スモーク』とその続編的な映画『ブルー・イン・ザ・フェイス』の2本分のシナリオ、「スモーク」の原案となった上述の『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』、原作者で映画では脚本も手がけたポール・オースターへのインタビューなどで構成されている。

そのインタビューでの、『スモーク』はコメディーか?ドラマか?というインタビュアーの問いに対するオースターの答え。

「僕はずっとコメディーだと思ってきたけど、それは「コメディー」という言葉を古典的な意味でとっている。つまり、物語の終わりには誰もが最初に較べると少しは幸せになっている、という意味だ。口幅ったい言い方だけれど、シェークスピアの喜劇と悲劇との違いとは、劇の内容というよりはむしろ、葛藤がいかに解決されるかにある。(悲劇と喜劇の)どちらでも人間は似たような問題を抱えている。悲劇だと、みんなが舞台の上で死ぬことになる。喜劇では、みんながまだ持ちこたえていて、人生は続く。僕は『スモーク』をそんなふうに考えている。良いことも起きる。悪いことも起きる。だが人生は続く。それゆえ、コメディーなんだよ。」

なんか、うまいこと言うねえ。
で、じっさい『スモーク』を読んだり観たりすると、その言葉がとてもしっくりくるんだ。


「良いことも起きる。悪いことも起きる。だが人生は続く。それゆえ、コメディーなんだよ。」


横須賀中央には、この話の主人公と同じ名前のbarがある。行こういこうと思いながら、お邪魔したのはまだ数回ほど。今夜行こうかねぇ・・・でもタイミングがなんだかジャストすぎるよねぇ。。。と、わけのわからない二の足を踏んで、別の酒場で酩酊する。
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by hey_leroy | 2012-12-25 23:59 | ことば | Comments(0)

こぼれ幸い

小島政二郎の随筆を読んでいて 「こぼれ幸い」 ということばを知る。

こぼれざいわい。

どことなく粋な響き。
思いがけなく転がり込んできた幸運、の意。
"棚からぼた餅"よりも美しい。

どこかで使ってみたいな、と備忘メモ。
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by hey_leroy | 2012-02-15 22:19 | ことば | Comments(0)