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ぶらり旅 その4~大衆酒場原体験の地~

その3のつづき。伊勢参りなどして、夕方、名古屋に戻ってきました。
栄から名鉄瀬戸線に乗って15分。「守山自衛隊前」で下ります。
ここは、社会人デビューした時に住んだ町。会社が同期入社4人分のマンションを借り上げてくれて、なんだかにぎやかに楽しく暮らしていました。もう四半世紀近く昔の話か。
思い出はいろいろあるけど(というわりには僕は1年で転職してしまう・・・)、とりあえず向かうのは、駅から徒歩ゼロ分、線路脇にあるやきとんの店。
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自分の大衆酒場呑みの原点といえる店。ま、当時はそんなのに興味はなかったのだけど。
仕事帰りに同僚と一緒になった時には、ここでビールグラス片手にもつ焼きを頬張って語ったり騒いだりしてた。
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入口左側から店内をt眺める。ネコちゃんが2~3匹出たり入ったりしてる。
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右側から店内を眺める。

コの字カウンターだったかな?と思ってたけど、一本ずつの対面カウンターだった。それとテーブルがひとつ。賑やかなおばちゃん3人で切り盛り。店長おばちゃんの顔は記憶にあるなぁ。おばちゃんたち、テレビのニュース映像に名古屋弁で一喜一憂しながらしゃべるしゃべる。心地よい。ビールに冷奴、それから「とんみそ」と焼き物を数本。とんみそは、モツ煮込み。もちろん味噌煮だけど、濃厚な八丁味噌ではなくて、もっとマイルドでちょっとピリッとして食べやすい。うまいなぁ。たまらずコップ酒にシフト。当時はたまにしかこなかったけど、今近くにあったら毎日のように通っちゃうだろうな。18時頃になったらどんどん混んできて満席に。陸上自衛隊駐屯地が近くにあるので、その関係のお客さんも多い。あと、ドラゴンズの選手も結構きてるみたい。

あぁ、満足。酒場を出て、近所をぶらり。前に住んでいたマンションはまだあった。まあ、町全体、あんまり変わってはいなかったかな。ちょっと歩いて、界隈でもう一軒気になるところがあったので向かってみる。

お!あの大看板がまだあった!
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ここも結構通った一膳飯屋さん。店名忘れてたよ。
店内にあるショーケースから好みのおかずを選んで、ごはんや味噌汁をつけてもらうスタイル。
通ってた時はすでに改築されてたんだと思う。なのでここも印象は変わってない。
おかみさんがちょうど作ってたポテトサラダ、あとはインゲンの煮物とサバ味噌煮でビール。
他にお客さんがいなかったのでなんとなく昔来ていたという話になったら、覚えててくれた。いつも2~3人で賑やかに食べてたあの会社の若い子たち、ということで。当時はおばあちゃんと娘さんの二人でやってた。今は娘さん一人で働く人たちの胃袋を満たしてくれてる。そして、味噌汁はもちろん赤だし。沁みる。
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味噌カツ、味噌煮込みうどん、海老フライ、ひつまぶし・・・名古屋メシはいろいろあるけど、自分はあまり食べなかったなあ。それぞれ一度ずつくらいかな。でも、日常食べていたものが美味しかったなあという印象がある。今夜ひさしぶりに訪ねたお店の記憶も大きいんだろうな。

最後に、伏見にある有名老舗酒場がまだギリギリやってたので、暖簾をくぐる。初訪です。
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賀茂鶴の鈍燗に、まぐろ(中トロ)とおから、野沢菜漬けで〆の一献。
ふんわりと良い感じになって、さて、帰りますか。
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またくるよ、名古屋~!
今度は事前に計画立てて、友達にも会いたいな、と。

小田原まで新幹線、そこから東海道~横須賀線でのんびりと帰宅。
よく呑み、よく食べ、よく歩いた一泊二日でした。
リフレッシュ、できた、はず~。
明日からがんばれる、はず~。


おしまい
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by hey_leroy | 2013-10-28 23:59 | days | Comments(0)

ぶらり旅 その3~お伊勢さん、など~

その2のつづき。10月最後の月曜日。名古屋で目覚める。快晴。8時にチェックアウトして、伊勢方面へ。
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近鉄線にゆられて1時間ちょい。赤福の国?にやってきました。
伊勢市駅から伊勢神宮の外宮(げくう)へ。
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今年は20年に一度の式年遷宮、しかも今月初旬にはご神体が新宮に移される「遷御の儀」が行われたばかりということもあってか、平日だけどすごい人出。
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真新しい外宮(の塀)。参拝はスムーズにすませることができた。
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そのとなりには、役目を終えたばかりの古い外宮。
建物の装飾性は乏しくシンプルで、だからこその品格というか、厳かさが感じられる。
パワースポットに手をかざす人たちを横目に、5~6キロ離れた内宮(ないくう)へ。
歩こうかと思っていたけど、あっさり断念してバスでいきます。
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やはり人、人、人。
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奉納のお神楽。
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五十鈴川でも手を清める。
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内宮。天照大御神がまつられている。外宮も内宮も鬱蒼とした森の中にあるけれど、ずいぶんあわただしくまわってしまった。午前5時から開いているらしいから、次に来る機会があったら、ぜひ近くに宿をとって早朝に清らかな空気を吸い込みながら参拝したいな。
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なぁんてことを言いながら、花より団子タイム。
普段人ごみは苦手だけど、江戸からつづく日本随一のアミューズメントスポット・お伊勢様ということなのか、イヤな感じはしないのが不思議。 アガルわぁ。
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御神酒としても納められている白鷹。店内のきれいなカウンターで立ち呑みできます。塩をなめながら、特別吟醸を正一合。いろいろ清められますな。
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伊勢うどんの前にも、一献。伊勢の地酒、老緑。
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からの、伊勢うどん! 太くてやわらかくて、もっちり。
昼時なので老舗の専門店はどこも行列。
おかげ横丁にある茶屋っぽい店で縁台に腰かけて啜りこむのがまたよろし。
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濃ゆい感じだけど、たまり醤油はマイルドです。小腹にすすっとおさまります。
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そして、もうひとつのお約束。
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お土産を求める行列は長いけど、店内で食べていく場合は待ち時間なし。さすがに出来たては美味しいや。餅や小豆の風味がきわだっている気がします。入れ込みの小上がりで五十鈴川をながめながらいただきました。

時間は午後2時ごろ。宇治山田からふたたび近鉄電車に乗り、名古屋方面に。
・・・と、また思い立って、途中下車。
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楠(くす)という、各駅停車しか停まらない小さな駅。三重県四日市市です。
伊勢神宮と同格にしてはいけないけれど、ここにも詣でたいところが。
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大衆酒場好きやホッピー好きにはおなじみの「キンミヤ焼酎」の製造元、宮崎本店がこの町にあります。
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昔ながらの木造黒壁の工場。
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社屋など。工場見学は事前申し込みが必要なので、今回は周辺をブラリ。
いいんです。ながめるだけで。
ちなみに宝焼酎の本社もこの近くにあります。甲類焼酎の町か?

でもって、夕暮れの名古屋へ。


つづく。
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by hey_leroy | 2013-10-28 23:00 | days | Comments(0)

ぶらり旅 その2~滋賀長浜で焼鯖そうめん、とか~

その1のつづき。静岡で途中下車してを親子丼をいただき、いよいよ滋賀・長浜を目指します。日曜のお昼、新幹線こだまはガラガラ。角ハイボール缶チビリ。肴はミニちくわと、わさび漬け。米原で在来線に乗り換えて、まずは近江八幡にいってみようかと。近江商人発祥の地。昔ながらの商人町の雰囲気が色濃く残っています。
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時代劇のロケでも頻繁に使われている八幡堀。其処彼処に、軒が低くて、黒い板壁には格子がはまった旧商家が数多く現存している。そして、それらに混じって点在するのが、明治後期に英語教師として赴任し生涯をこの町で過ごしたウィリアム・メリル・ヴォーリズが設計した洋館たち。
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ヴォーリズは、キリスト教の伝道、教育、出版、医療などの社会貢献活動や、地元の人たちと共に建築設計会社やメンソレータム(現メンターム)で知られる近江兄弟社などの企業活動を展開した人。以前、何かの雑誌で彼と近江八幡のことを取り上げているのを読んで、頭にひっかかっていたのでした。
琵琶湖畔の平野部にある町は落ち着いた雰囲気で道も平坦で歩きやすく、今日は急ぎ足での散策だったけど、またゆっくり来たいなあと思わせるところだった。ただ、日牟礼八幡宮とその付近だけは観光バスが何台も乗りつけ、人でごった返していたので早々に退散したけれど。

夕方になってお腹もいい具合にすいてきたので、長浜へいって焼鯖そうめんだ♪ 近江八幡からは電車で20分ほど。車窓から見える民家は、やや重厚な日本家屋が多い。彦根とかの城下町を通っているからかな。日が落ちる直前、琵琶湖がすぐそばに見えたと思ったら、長浜到着。予備知識ゼロできちゃったので、駅前をぶらっとしてみる。と、すぐ近くに料理屋さんを発見。料亭チックな構えだけど、テーブル席がある食堂も併設されている。品書きと値段を確認して入ってみると、先客なし。ゆっくりくつろいじゃいましょ。ということで。
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うざくと小鮎の天ぷらで一献。ビールから地酒「六瓢箪(むびょうたん)」へと。
そして、きました!
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今回のぶらり旅の(一応の)目的、焼鯖そうめん。湖北地方の郷土料理で、昔からの農繁期の定番メニューだったようです。焼いた鯖を濃いめの醤油煮にしてそうめんも一緒にゆでていただくもの。僕が食べたのは料亭チックなお店だからか、そうめんは上品な出汁でゆでられていて、ほろほろと柔らかく甘辛く炊かれた鯖と一緒に食べるとじんわり美味しい。お酒もすすみます。

満足して、さて、どうしましょ。
お腹は満ちたけど、さっき駅前で気になる食堂を見つけたんだよなぁ・・・ビールと軽いの一品とかつまんでみようかな・・・と思って向かったら、18時で閉店していた。残念。
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この佇まい。しびれる。
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「ひやしビール」が泣かせる。東京・十条の老舗酒場の品書きも「冷やしビール」だったっけ。
いつか来たい。長くつづけてほしい。

ここからは京都も近いけど、それはチト欲張りすぎかな?ということで、少し引き返して、今宵は名古屋に泊まることにします。東海道線の新快速で1時間半ほど。
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時間は夜9時半。テレビ塔の脇に昔からあるジャズ喫茶でバーボンを。ジャズ喫茶というにはカジュアルな雰囲気。エラ・フィッツジェラルドやウェス・モンゴメリーを聴きながら、しばし一日の余韻に浸る。名古屋は20数年前、社会人デビューのときに1年ほど暮らしていました。この店にもたまに来てた。
余韻に浸りつつ、あのころ同僚とよく行ってたラーメン屋に足が向く・・・あれ、ない。
どうやら少し離れた場所に移転していた模様。
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熊本ラーメンの店です。だけど、お目当てはラーメンにあらず。
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台湾風酢豚。 さらりとした南蛮漬っぽい感じの酢豚。鷹の爪の辛さと、どっさりのネギの香り。
「すがきや」でも「味仙」でもなく、自分の名古屋中華はこの酢豚なのであります。

お腹をさすりながら、当日予約のホテルにチェックイン。
明日は、伊勢にいこうかな。それと、もうすこし名古屋もあるきたい。


つづく
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by hey_leroy | 2013-10-27 23:59 | days | Comments(0)

ぶらり旅 その1~静岡で親子丼~

10月最後の土曜日。仕事から帰ってきてテレビをつけたら、「焼鯖そうめん」なるものがちょこっと映っていた。滋賀県長浜の郷土料理らしい。しらなかったけど、これ旨そうだな~。

自分の仕事は明日とあさっては連休。これを逃がすと年末まで連休はなさそう。 どこかに行きたいなぁとしばらく前から思っていた。信州とか南東北あたりで紅葉をみようかな、とか。でも、急遽、これ食べに滋賀に行くことに決定。目的はなんでもよろし。それ以外は未定。

で、日曜日。なんとか目覚めて8時過ぎに横須賀を出発。ポケット時刻表片手に、さて、どうしよう。
お金はあんまり使いたくないけど、鈍行で滋賀まで行くわけにもいかず。
とりあえず、静岡まで東海道線にゆられていこう。トリスハイボールの缶を啜りつつ・・・。
静岡はいいなあ。おでん横丁やパルコ脇の老舗酒場。帰りみちに寄りたいな。
・・・と、そういえば先日ココでも書いた親子丼の店もあるんだった!(飲み食い以外興味ないのかい・・・) 静岡に着くのは11時過ぎ。調べたら、お店は日曜も営業してて、11時からとのこと。おお、これはこれは!

ということで。
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静岡駅から歩いて10分ほどの中村屋さん。
卵とろ~りではなく、煎り卵風の独特のスタイルだそうで。
色川武大や永六輔がお気に入りとして挙げていたお店。
メニューは数種類の親子丼と、鳥わさなどの一品料理がいくつか。
僕は、(並)の親子丼と、ビールを。へへへ。
ほの暗くて落ち着いた店内はお昼前でお客さんも未だ少ない。
テレビを眺め、ビールをのみつつ待つことしばし。
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きました。ほほ~、なるほど。
煎り卵はしっとりしていて、ちょっと甘め。その下には、鶏肉、椎茸、筍、蒲鉾の具材と、醤油の茶色が染みた炊き込みご飯。総じて甘めの味付けだけど、スイスイと胃の腑におさまっていく。プリプリ鶏肉、シャクシャク筍などの食感の妙。また食べたくなる味だな、こりゃ。
こちらの親子丼、お店で食べるほかに折り詰めも調製してくれるとのことで迷ったのだけど、卵のしっとりなめらかな感じはお店で食べたほうが感じられるだろうし、でも少し時間を置いて味が染みたのを電車で味わうのもまた捨てがたく・・・うん、次回は折り詰め!


つづく。
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by hey_leroy | 2013-10-27 23:01 | days | Comments(0)

帰り道の一杯、ありがとう

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横須賀・米が浜の裏路地にある通称「人情酒場」が本日をもって一旦クローズ。
場所を駅近くに移して、お店の名前もメニュー内容なども新たにスタートするとのこと。
約2年前のオープン初日にお邪魔してから、けっこう濃ゆいおつきあいでありました。
カウンター6~7人でギッチリな「狭小酒場」だったけど、そこがまたおもしろくて。
今日はラストナイト&ハロウィンパーティ。
自分は顔をだせなかったけど、Junくん、Yukoさん、あたらしいお店も楽しみにしてます!
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by hey_leroy | 2013-10-26 23:21 | スカ呑みスカ喰い | Comments(0)

相席のご常連

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ヨコスカのジャズと珈琲とお酒の店で。
ご相席、よろしいですか?
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ふにゃぁ。
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by hey_leroy | 2013-10-25 23:34 | スカ呑みスカ喰い | Comments(0)

あんこ好き

雑誌『BRUTUS』をひさしぶりに購入。
「あんこ」特集だったので。
つぶあんもこしあんも好きだ。
今はきんつばが食べたいので、つぶあんに感情移入中。
大福、羊羹、団子、餅、どらやき、たいやき、おはぎ、ぜんざい、シベリア・・・。
老舗からニューウェーブまで、あんこ百花繚乱。破顔一笑。
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酒呑み且つ甘党で、よいじゃないか。
あんこと酒の組合せを提言する、銀座のハイボール酒場店主。
粒あんだんごと、ウォッカ。
アンパンと、カンパリビール。
もなかと、カカオリキュールのソーダ割り。
一番のインパクトは、とらやの羊羹と、ぺルノーのロック。
それぞれの味は知っているけど、口の中でどういう混ざり方をするのか。
薬草酒ペルノーのニガヨモギの香りと、小豆の風味・・・。
興味津々。

来月になると酉の市が。
お酉様のお菓子といえば、きんつばと切り山椒。
今年は三の酉まで。楽しみであります。
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by hey_leroy | 2013-10-19 23:33 | books | Comments(0)

こにゃんこ2匹

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今日も玄関先でヌクヌク中。
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by hey_leroy | 2013-10-18 23:30 | days | Comments(0)

台風が過ぎて

ひと月前くらいからウチの玄関前でたまにくつろぐ姿を見せている親猫と3匹の子猫。
大きな台風が来てどうしたかと思っていたけど、無事にきりぬけたもよう。
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いつもドアを開けるとササっと逃げてしまうけど、今朝はやや警戒しつつもまったり。
1匹はこちらをみていて、もう1匹は奥にいる母猫ともう1匹の兄弟の方をうかがってます。
あ、よぉく見ると、右奥にチビちゃんが・・・。

可愛いなあと思いつつも、そんな素振りはみせずに出勤、シュッキン。

・・・ウチの玄関先が荒れ模様なのは台風の所為とは言い切れない。
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by hey_leroy | 2013-10-17 23:35 | days | Comments(0)

明治の頃のどぶ板通り

 『子供の頃の事で、どういうきっかけからか今は分らないが、其の時十夜の寺の灯りと鉦の音とを思い浮べて居たのだから、或は夜寒に近い頃であったのかとも思う。とにかく、月の無い星ばかりの晩であった。風呂敷に包んだ一本の刀を母が袖の下にしっかり抱いて、私は鬱金(うこん)の袋に入れた蝋鞘の方を腰に差して、横須賀汐入という所の、山沿いの淋しい裏道を歩いて居た。日清戦争の最中であった。
 (中略)其の裏通りは草薮を冠った低い崖にそった片側町で、いつも山清水に濡れてぬるぬるとして居る断崖を、一間四方ほどに四角に刳抜いて、お堂代わりにしたお地蔵様の前を通り越せば、その頃俗に「どぶ板通り」と云った此の町でも賑がな明るい通りに出るのである。(中略)お地蔵様の中には蝋燭があかあかと点って、頭巾やら涎懸けやら、赤い子供っぽい色彩がごたごたと眼に映り、いつものように土の匂いのするお線香が煙って居た。二軒の芝居小屋と多くの食べ物店と、白粉をつけた女の居る銘酒屋とが軒を並べた此の狭い通りは、其の頃の此の軍港町の歓楽郷で、此処を通るのが大滝町という別の盛り場へ出る近道であった。未だ宵の口で、そう人も雑沓して居なかったが、私達は別に人に見咎められる事も無く、志してきた大滝町の一軒の店の前へ来る事が出来た。』
 (岩本素白「研ぎ」より。「素白随筆遺珠・学芸文集」収載)

 岩本素白(1883~1961)という文筆家の随筆の中に、明治二十七年当時の横須賀・どぶ板通りについての記述があった。戦中や戦後の賑わいの様子については良く見聞きするけれど、明治の頃のどぶ板のことが書いてあるのはめずらしいと思って、ここに抜粋。お地蔵さんは今もある「延命地蔵尊」のことかな? 素白は早稲田大学で随筆の講義を担当しながらも、生涯で著した本はたったの三冊。でも、その随筆はどれもささやかだけど趣が深くて、不思議と読み飽きないし、古臭さも感じない。気持ちがざらついた時などに読むのに良さそう・・・でも、そんな時には本なんかに手は伸びないものです。
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by hey_leroy | 2013-10-12 09:07 | books | Comments(0)