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落語食譜

『落語食譜』  矢野誠一 (青蛙房 1992年)

古典落語や一部新作落語に登場する食べものを、歳時記のように取り上げた本。
「味噌倉」の田楽、「芝浜」の福茶、「鰻の幇間」のうなぎなどなど全部で72項。
それぞれの落語のさわりの部分と、食べものの由来、その噺や食べものについての噺家のエピソードや筆者の随想などが書かれている。 

噺のほんとに”さわり”にしか触れていないので、一々初めからしまいまで聞きたくなって困る。
米朝の「地獄八景亡者戯」とか、文楽の「馬のす」とか、あぁ、聞きたいよぅ。

「唐茄子屋」という人情噺。唐茄子はカボチャのこと。カボチャは上方風の言い方で、江戸では「唐茄子」だったのだとか。そういえば、うちでも祖母ちゃんや曾祖母ちゃんは「とうなす」って言ってたなぁ。自分は子供のころで「唐茄子」なんて字を当てることを知るはずもなく、カボチャを煮たのが「トーナス」っていう料理なんだと思ってた気がする。 

そういや、トイレのことは「はばかり」だったし、今は思い出せないけど、けっこう昔風の言い回しを耳にしていたような。祖母ちゃん子だった。だから今でも「おばあちゃま酒場」に足しげく通ってるのかも。 あ、祖母ちゃんたちの食卓にはよく「どんどん焼き」なんて出ていたっけ。うちのは、肉は入らず野菜の千切りや桜海老なんかをメリケン粉に混ぜて小さなお好み焼き風に焼いたものだった。 なつかしい。


「落語食譜」はその後「落語長屋の四季の味」と改題され、文春文庫から出ています。

 
by hey_leroy | 2012-05-01 08:07 | books

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


by hey_leroy