Life Goes On
2012年 12月 25日
1990年のクリスマスにニューヨークタイムズ紙に掲載された、フィクションともノンフィクションともつかない独特の雰囲気を持つ短い小説。ブルックリンの街角の食堂で語られる、温かくてちょっとビターなクリスマスのできごと。この文章が映画監督ウェイン・ワンの目に留まり、のちに映画『スモーク』へとつながっていく。映画は、クリスマス・ストーリーの語り手である煙草屋の店主や客たちをめぐるエピソードを、淡々と、深い味わいで描く。見てない人は、ぜひ。ハーヴェイ・カイテル、渋いです。そして今日読んだ本には、『スモーク』とその続編的な映画『ブルー・イン・ザ・フェイス』の2本分のシナリオ、「スモーク」の原案となった上述の『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』、原作者で映画では脚本も手がけたポール・オースターへのインタビューなどで構成されている。
そのインタビューでの、『スモーク』はコメディーか?ドラマか?というインタビュアーの問いに対するオースターの答え。
「僕はずっとコメディーだと思ってきたけど、それは「コメディー」という言葉を古典的な意味でとっている。つまり、物語の終わりには誰もが最初に較べると少しは幸せになっている、という意味だ。口幅ったい言い方だけれど、シェークスピアの喜劇と悲劇との違いとは、劇の内容というよりはむしろ、葛藤がいかに解決されるかにある。(悲劇と喜劇の)どちらでも人間は似たような問題を抱えている。悲劇だと、みんなが舞台の上で死ぬことになる。喜劇では、みんながまだ持ちこたえていて、人生は続く。僕は『スモーク』をそんなふうに考えている。良いことも起きる。悪いことも起きる。だが人生は続く。それゆえ、コメディーなんだよ。」
なんか、うまいこと言うねえ。
で、じっさい『スモーク』を読んだり観たりすると、その言葉がとてもしっくりくるんだ。
「良いことも起きる。悪いことも起きる。だが人生は続く。それゆえ、コメディーなんだよ。」
横須賀中央には、この話の主人公と同じ名前のbarがある。行こういこうと思いながら、お邪魔したのはまだ数回ほど。今夜行こうかねぇ・・・でもタイミングがなんだかジャストすぎるよねぇ。。。と、わけのわからない二の足を踏んで、別の酒場で酩酊する。