コーヒーと恋愛
2014年 11月 01日
このblogらしからぬタイトルですが。
獅子文六が50年ほど前に書いた小説。
世に出た時には 『可否道』 というタイトルだった。
1962~63年に読売新聞に連載。63年単行本に。同年映画化もされた。
『コーヒーと恋愛(可否道)』 に改題されたのは1969年。
昨年ちくま文庫よりひさしぶりに復刊された。
今年同じくちくま文庫から復刊の小説『てんやわんや』や、それ以前の食味随筆などで、
静かな獅子文六ブームが起きているのかもしれない。
自分は10年ほど前に『わが食いしん坊』という氏の食味随筆の編纂本で知って、
その後小説『大番』を読んだり、その映画4部作を見たり。
「まだテレビが新しかった頃、お茶の間の人気女優 坂井モエ子43歳はコーヒーを淹れさせればピカイチ。そのコーヒーが縁で演劇に情熱を注ぐベンちゃんと仲睦まじい生活が続くはずが、突然”生活革命”を宣言し若い女優の元へ去ってしまう。悲嘆に暮れるモエ子はコーヒー愛好家の友人に相談・・・・・・ドタバタ劇が始まる。人間味溢れる人々が織りなす軽妙な恋愛ユーモア小説。」
(背表紙の文章より)
獅子文六の魅力は作風の大らかさにあると思う。
恋愛のゴタゴタを描いても、どこかカラっとしている。
そして、平易でモダンな文章。小説の中味以上に文体に軽妙な味がある。
今でもそう感じるのだから、当時はずいぶん新鮮に読まれたのだろうなぁ。
戦後10年。復興から成長へと進みつつあった時代が求めていた娯楽性。
映画「可否道」、以前はちょくちょく名画座にかかってたんだけど、見逃している。
キャスティングは森光子、加東大介、川津祐介、加賀まりこ。。。
あぁ、観たい!
今回のちくま文庫、表紙はサニーデイ・サービスの「東京」のジャケットをアレンジしたものだ。
「東京」のラストにはその名も「コーヒーと恋愛」という曲が収められている。
この小説のタイトルからインスパイアされた曲とのこと。
というわけで文庫解説は、サニーデイの曽我部恵一氏が書いている。