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備忘メモ こんなの読んでた

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『香具師口上集』 室町京之介 (創拓社 昭和57年)
 香具師(やし)、テキヤという商売の成り立ちや変遷、そして多種にわたる売り文句・ノセ文句が収録された本。江戸っ子口調で読みやすい。鎌倉の古本立呑屋で衝動買い。バナナの叩売りやガマの油売りといった有名なものから、せともの、ういろう、七色唐辛子、ラムネ、人絹シャツ、活動大写真、サーカス、おいちにの薬売りetc...。これはすごい。続編もあるみたい。探さなきゃ。小沢昭一が飛びつきそうな・・・と思ったら、表紙をめくったところに推薦文を書いてた。やっぱり。


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『小鉢の心意気』  阿部なを (ちくま文庫)
 青森出身の著者による暮らし・料理の歳時記。初出は1988年。阿部なを(1911~1996)は48歳で洋画家の阿部合成と離婚し、郷土料理屋「北畔」を上野に開く。その後NHK「きょうの料理」への出演で広く知られるところとなった。青森の厳しい冬と短い春。さまざま保存食。行事。太宰治の思い出。「北畔」は現在もある。北の肴で一杯やりにいきたい。

『古本道場』  角田光代・岡崎武志 (ポプラ社 2005年)
 小説家・角田光代が古本ライター・岡崎武志の指導のもと、古本屋をめぐる。神保町の王道古書店、渋谷・代官山のお洒落系、早稲田通りの学生向け古書店群、西荻窪のちょいサブカル系など。鎌倉にも足を伸ばしているけど、取り上げられた5軒のうち2軒はもうない。そのかわり新しい店も増えている。中古レコード屋が近くになくてよかった。あぶないあぶない。角田光代さん、インタビュー記事で紹介された"影響を受けた本"を自分も読んでみたり、ウェブ日記をかかさずチェックしたりしてるのに、まだ小説を読んでないのです。。。

『韋駄天夫人』  白洲正子 (平凡社ライブラリー 2007年)
 随筆のような評論のような。いつ何を読んでも白洲正子は面白い。 おなじみの小林秀雄や青山二郎らとの交流。能や書画骨董のこと。美とは何か。直感、好奇心、行動の人、お転婆、韋駄天お正。比較的短めの文章が多く収められていて、内容も幅広く、楽しく読める。 初めて読むならこの本が良いかも。

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『うらおもて人生録』  色川武大 (新潮文庫 昭和62年)
 これから世に出ようとする若者、とくに劣等生たちに向けた、色川流処世の技術。勝ち方、負け方、しのぎかた。9勝6敗をねらえ。フォームを崩すな。運は最終的にはプラマイゼロ。だまされながらだます。一病息災。人を愛する。。。自らのアウトローな人生を教材に、生きていく上でのセオリーを説く。博打や競輪やらがやたらと引き合いに出されるが、さすがの説得力。著者の別名は「麻雀放浪記」の阿佐田哲也である。クールだけれど優しい視線で書かれた、オトナが読んでも十分ためになる一冊。

『友は野末に  九つの短篇』  色川武大 (新潮社 2015年)
 つい先日刊行された、単行本未収録作品集。「奇病、幻視、劣等感、孤絶、放蕩、芸能好き、人恋しさ、人嫌い――無頼と称され、無比に優しい人とも呼ばれた作家が遺した、魂をさらけ出す私小説名品集。強靭で、懐の深い文章が紡ぎ出す、あざやかな人物造形と生々しい心象の数々。立川談志、嵐山光三郎との対談と、夫人へのインタビューを附す。全篇単行本初収録。」(新潮社HPより)
 色川武大の、屈託を湛えた眼差しを通して描かれる世界に惹かれる。フィクションだろうがノンフィクションだろうがかまわない。ほろ苦く、時に少しだけ甘美。
by hey_leroy | 2015-05-08 09:02 | books

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


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