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神無月閑話

本日休日。

気持ちの良い秋晴れ。
だというのに、風邪が身体の内にこもっているようで。
発熱もしてないし咳もでていないけれど、全身を覆う倦怠感。
ここ数日、酒も(ほとんど)呑まず、音楽も(ほとんど)聴かず。
ベッドに横臥して本を読む。
すぐにウトウトして、顔の上に落とす、をくりかえす。
内容も重量も軽めで読みやすい本がよろしいようで。
・・・いつもそんな感じだけれど。

自分の知らない世界をのぞいて刺激を受けるのも読書の醍醐味。
秋が深まってきたら、そうしたい。


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『向田邦子 映画の手帖』 (徳間文庫 1996年)

 向田邦子が小説を書く前のシナリオライター時代のさらに前。20歳代から8年間、映画雑誌の編集者をしていた時代の文章を中心に編集された本。ほぼ半分は、雑誌『映画ストーリー』の編集後記(昭和27~36年)ばかりを集めたものだ。こういうのも本になるのか~。でも、ファンはこういうのが有難いのだろうな~。ハリウッドスターや映画作品のことのほか、趣味のスキーや愛猫や自分自身についても書かれていて、のちの「父の詫び状」などへとつながる源泉と感じることもたしかにできる。瑞々しくてユーモアがあって。編集後記のような原稿用紙一枚に満たない短い文章にこそ個性やセンスがあらわれるものかも知れない。


『バタをひとさじ、玉子を3コ』 石井好子 (河出書房新社 2011年)

 シャンソン歌手、そして『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』(1963年)などを記したエッセイストでもある石井好子さん。亡くなった翌年に刊行された未単行本化のエッセイ集。1970年代に雑誌や新聞に発表された文章が中心になっている。生活していたフランス、故郷日本のほか、旅して歩いたローマ、テヘラン、ニューオリンズ・・・それぞれの街の人、料理、お酒、音楽。レシピもふんだん。手が込んだものから簡単にできる夜食まで。

「マッシュルームはうすく切ってバタでいため、その中にメリケン粉を入れて、ちょっとこげる手前で牛乳を少々入れると、とろっとなる。食パンの上にそれを塗るようにのせてチーズの粉をふりかけて、オーブンで焼いた。表面がキツネ色にやけて、とろっとしたマッシュルーム入りのクリームは柔らかく、こんがり焼けたトーストの上にのっている。おいしいおいしいホットサンドウィッチであった。その頃私はお料理ができなかったから、すっかり感心してしまって、まるで手品みたいだと思った。」

歌手仲間のフランス女性が夜食に作ってくれた「オニオンスープとトーストにのせたクリームマッシュルーム」。じゅるり。


さいわいなことに、体調はすぐれなくても、食欲はしっかりあるのだ。
たいていそうなのだ。

今日の昼餉は、昨晩のキムチチゲにうどん入れて。
落とした卵は半熟で。


午後、あたたかい陽気なので図書館へ。
2冊返すだけのつもりが5冊借りてしまう。
そのうちの一冊は900ページ近いボリュームだ。

熱が出そうだ。


by hey_leroy | 2015-10-09 15:54 | books

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


by hey_leroy