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天国は水割りの味がする

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『天国は水割りの味がする 東京スナック魅酒乱』 都築響一(廣済堂出版 2010年)

900ページ近い大冊を夢中で読了。
図書館で借りるのもどうかと思う本だけど、迷わず手に取った。
都内50軒ほどのスナックのママやマスターへのインタビュー本。
濃ゆい。波乱万丈。人に歴史あり。
ためにならないようで、ためになるような。
とにかく、分量、内容ともに読み応えたっぷり。
写真も魅惑的。

扉は閉ざされ、外からうかがい知ることができないお店の様子。
漏れ聞こえてくるカラオケの絶唱。
紫やオレンジ色の看板。絶妙なる店名センス。
謎は多く、そして実はもっとも身近といえば身近な酒場、スナック。
繁華街はもちろん、ちょっとした路地裏にも、住宅街の中にもそれはある。
その数たるや、居酒屋やレストランの比ではない。

そんな一軒一軒にそれぞれの濃ゆいエピソードが・・・と思うと、
通りすがりのスナックの看板を見つめる時間がコンマ数秒長くなりそう。

むかし日テレのルックルックで「ドキュメント・女ののど自慢」ってありましたねぇ。
夏木ゆたかが司会だったっけ。朝の番組とはとても思えない感じだったけど、子供や旦那を学校に送り出したあとの奥様方の心をつかんでいたんだろうなぁ、と今にして思ったり。

自分とスナック。
酒呑み歴はそこそこ長くなってきたけれど、スナック体験というのは乏しい。
社会人デビューは名古屋配属で、上司や同僚と中日新聞本社裏のスナック街に何度か。
そのあとも、職場の人と新宿や三軒茶屋などで数回程度。
仕事以外だとシモキタで行きつけの居酒屋のオヤジさん達とアフターで呑みにいったり。
そうだ。シモキタの鈴なり横丁にあった、化粧っけのないおばちゃんがやってたスナックはそのあと一人でも何度か行ったんだ。カウンターの隅には「センセイ」と呼ばれる老紳士がいつも座っていて、ほかのお客が入れたカラオケのビデオディスク(!)をセットしてくれてた。穏やかに呑める店だった。ここが、今も好きな「おばあちゃん酒場」の原体験といえるのかも知れない。ここと、あともう一軒は江の島にわたる通りにあったおでん屋台。
そのあと暮らした横須賀にもそれはそれはたくさんのスナックがあったけど、大衆酒場ばかりに行っててスナックはあまり知らない。それでも地元の友達に何軒かは連れてってもらったっけ。

行けば、それぞれ、面白い。
今はハシゴ酒が多いし、カラオケはあまり好きじゃないから、スナックでボトル入れて腰を据えて呑むという気持ちにはならないけど、この先はどうなるかわからない。カラオケも、実はボックスよりはスナックでの雰囲気の方を好もしく思っているワタクシ。

そんなおり。
雑誌ブルータスの最新号はスナック特集。
アツいのか、スナック。
まだ読んでないけど。
自分の中ではタイムリーな話題と相成りました。
地方はともかく、都市部ではスナックで呑む文化は廃れ気味であることは否めない。
これは啓蒙活動か?
マガジンハウスだし、やはり都築さんがからんでいるのだろうか。
だからって、いきなりあの扉を開けるのには相当勇気が要ると思うけど。
いい店ばかりとはかぎらないしね。

ともあれ、次は、続編というべき「東京スナック飲み歩き」を(借りて)読みます。


by hey_leroy | 2015-11-04 22:58 | books

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


by hey_leroy