『海と山のピアノ』 いしいしんじ (新潮社 2016年)
いしいしんじの最新刊。
短編小説というか、9つの物語たち。
長編の「麦ふみクーツェ」や「ポーの話」を思い出させるような、
現実と空想の間(あわい)をゆく話たち。
どの物語も、水が深くかかわっている。
いしいしんじが常に取り組むテーマといえる。
水と、音楽と、光。
現実と非現実。海と山。
此岸と彼岸。家の中と外。
隔たれているようで、それらは全てつながっている。
その”あわい”におこる様々のこと。
著者もどこかで語っていたけど、ひさしぶりに「読みやすい」いしいワールド。
やさしいだけじゃない、ファンタジーなだけでもない。
読みごたえはたっぷり。
そして、装丁がなんとも愛らしい!