酒場が好きだ。酒場で過ごす時間が。もちろん呑むことも。
でも、酒場を目的にどこかの町へでかけることは、なんとなくひかえてる。ここ数年。なんとなく。
基本は地元近辺で呑む。あとは、昔住んでた町、以前働いてた街、とか。。。どこかの町で用事があったついでに界隈で呑むのは、また別の話。
結果、用事が主だか呑みが主だか、というのは、まぁ良くある話。そのへんが曖昧で、なんとなくなわけで。
ビジネス街はさておき、基本、町の酒場は地元民のオアシスであり茶の間だ。
他所者がいくときは「お邪魔します」の気持ちを忘れずにいたい。
でもね、そうはいっても酒場も商売。常連客ばかりでは廃れていくばかり。そのあたりの塩梅が、ね。
カマクラの本屋で『横濱市民酒場グルリと』という本をみつけたのは偶然だった。
パラパラとめくって、鼻息荒くレジへ直行。
自分の大好物の、昭和半ばの酒場の貴重な写真がたくさん。
記事も読み応えたっぷり。
ああ、いいなぁ。
横浜の「市民酒場」は、戦前(昭和13年頃)に同業者組合的に発足。
その後、戦中に、行政が酒の配給と絡めて市民酒場という組織をひろめた。
・・・と、これはかなり乱暴に端折って書いてマス。
詳細は本書をお読みくださいませ。ぜひとも。
今でも市民酒場と名がついているのは「みのかん」「常盤木」「諸星」の3軒。
どこも名前は知っていてもちろん気にもなっていたけど、行ったことはない。
本書が作られるきっかけになったのは、市民酒場と銘打ってはいないけれど、市民酒場の流れを汲む飲食店はまだまだあるという、常盤木のご主人の言葉だったという。
野毛の「武蔵屋」、東神奈川の「根岸屋」、日ノ出町の「栄屋酒場」などなど。
へ~~~っ、と読みふける。
もともとは酒屋さんで、戦局悪化に伴い、酒屋を続けるか小売り免許を返上して飲食店に変わるかの二者択一で、酒場になったところが多い。
そういえば、横須賀・逸見の「今長」のおかみさんも、もとは横須賀駅前で酒屋を営んでいたけど、戦争の時に現在地に移転して酒場に転業したと言っていたなぁ。
横浜の市民酒場とか、東京都の外食券食堂とか。
戦後の日本の労働者を支えた飲食店たち。
そのままの佇まいで今までつづいている店は少ないけれど、
思いを馳せながらグラスや盃を傾けてみたいなぁ。
というわけで、あいまいなポリシーなんてうっちゃって、
わざわざ市民酒場を目当てに出かけてみちゃおうかなぁ。。。
出版元の
星羊社は、「はま太郎」という"横浜民衆文化誌"を出している。
『横濱市民酒場グルリと』は、「はま太郎」の連載記事「市民酒場を語る」をまとめ、さらに深めたもの。
つい数週間前、大船の立呑み「H文庫」で、星羊社のお二人(酒場にうるさいおじさん達かと思いきや、さにあらず!なのです)を招いたイベントがあったのでした。仕事だったのだけど、これは行きたかった!