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礼儀作法入門


ほぉら、言わんこっちゃない。
夏が終われば、あっという間に来年の足音が忍び寄る。
もう師走も12日。

何かとくべつ差し迫った案件があるわけでもないのだけれど。

窓から外を眺めればうららかな日差し。
まぁ、いいじゃないか。

だからといって散歩に出るでもなく、朝からベッドに横臥して文庫パラパラ。


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『 礼儀作法入門 』 山口瞳  (新潮文庫)


ずいぶん前に古本屋で買って、気が向いたときに飛ばし飛ばし読んでいた。
今日一気に読みおえる。
タイトルからすると何やら教訓めいたことが書き並べてありそうだけど、
そして実際そういうところがないではないけれど、
冠婚葬祭や衣食住についての良質なエッセイであるといえる。

もともとは雑誌「GORO」(懐!)の1974年創刊号から翌年にかけて連載された文章。
いってみれば、山口瞳から若者に向けたメッセージだ。
そうなると思い出されるのは、氏が毎年、成人の日と新年度(入社式)の日にサントリーの新聞広告に寄せていた文章たちだ。
社会のキビシサを説きつつ、でも満更悪いものでもないと背中を押す。
その洒脱な雰囲気は、詳細な文面は忘れても印象に残っている。

で、この本。若い頃に読んでもあまりピンとこなかったかもしれない。
"親の説教と冷酒はあとから効く"ってなもので。
今の時代だと受け容れづらい内容の話もある。
氏のダンディでいて、しかも情に厚い生き方の実践はむずかしい。
クールだけどホットなのだ。
そこが独特。
けっこう神経質な気もするし、こだわりも強い。
失敗談も多く語られているけれど。
いわゆるエチケットのハウツー本ではない。
この通りにすれば上手くいくというものでもない。
ただ、日々生きていくうえで自分なりの"心構え"を持つことが大事なんだ、ということを教えてくれる本だと思う。

「男性自身」「行きつけの店」「江分利満氏の優雅な生活」etc...の山口瞳のほかの本もあわせて読むと一層面白いはず。




by hey_leroy | 2016-12-12 14:27 | books

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


by hey_leroy