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夏の夜は百物語

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『百鬼園百物語 ~百閒怪異小品集~』 内田百閒 (平凡社 2013年)


夏の夜。
百筋の灯心に明かりを点した会場に集まってきた者たち。
各々が怪談・奇聞を披露し、ひとつの話が終わると灯りをひとつ消してゆく。
百筋すべての灯心が消されて真っ暗闇に包まれたとき、何かが起こる。
、、、というのが「百物語」。怪談会のハシリ。
江戸末期に粋人の間で流行し、その後も明治期にリバイバルしたそうで。

これにあやかった(?)内田百閒の怪異小品100篇のアンソロジー。
編者は東雅夫氏。
買って数年寝かせてたけど、今夜一気に読む。
小説、随筆、日記などから集められた、バラエティー豊かな内容。
飄々とした随筆も好きだけど、幻想奇譚も大正期の百鬼園先生の持ち味。
読み終わったあと、どうにかなるか?・・・途中寝落ちに3000点。
・・・てか、もっと寝苦しい夜に読むべき。



で、読みました。既読作品も多かったけど、こういう趣向でまとめられていると、さすがに読み応えあり。

夜、連ドラ「ひよっこ」総集編に気をとられてしまい、読み終えたのは夜が明ける頃だった。
直接的な怖さではなく、いつのまにか日常から非日常に引き込まれている。
なにかぞわぞわするような「気配」の描写。その余韻が後をひく。
起承転結があやふやで、読み手の想像力にゆだねられる部分が多い。
あやふやなまま、不穏な気配だけが膨れ上がってゆく。

収録作品以外にもっと怖い作品もあるけれど、「小品集」であるがゆえのボリューム制限に引っかかったかんだろうな。
とはいえ、この100篇を、まるで怪談会に参加しているような流れをつくって編んでくれた東氏に敬意と感謝を。



by hey_leroy | 2017-08-04 21:25 | books

たゆむあした、ゆるむゆうべ。カマクラ発、ユルマッタリな日々。読み返されない備忘録。


by hey_leroy