『 ヲトメノイノリ 』 石田 千 (筑摩書房 2018年)
デビュー時から読み続けている石田千さんの最新刊。
短編小説9篇と、中編のタイトル作を収録。
図書館で予約して借りた。
6歳の児童から76歳の老舗大女将まで。いろんな世代の女性が描かれる。
石田さん特有の、ていねいで優しく、清々しい筆致。
甘くなくさらりとしているのが好きだ。
ドラマティックな展開はないが、読後に感じるさわやかさ。
と思ってたら、表題作で意表をつかれた。
まさかの落語調で、笑えて泣けて、ちゃんとサゲもあって。
76歳でピアノをいちから習う決心をした老舗佃煮屋の大女将と、ぐうたらピアノ講師のすったもんだの顛末。
滑稽噺か人情噺か。後者になるのかな。この世界も、アリだなぁ。
楽しい読書時間だった。
装丁、装画は南伸坊さん。