カテゴリ:books( 349 )

ヲトメノイノリ


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『 ヲトメノイノリ 』
 石田 千 (筑摩書房 2018年)


デビュー時から読み続けている石田千さんの最新刊。
短編小説9篇と、中編のタイトル作を収録。
図書館で予約して借りた。

6歳の児童から76歳の老舗大女将まで。いろんな世代の女性が描かれる。
石田さん特有の、ていねいで優しく、清々しい筆致。
甘くなくさらりとしているのが好きだ。
ドラマティックな展開はないが、読後に感じるさわやかさ。

と思ってたら、表題作で意表をつかれた。
まさかの落語調で、笑えて泣けて、ちゃんとサゲもあって。
76歳でピアノをいちから習う決心をした老舗佃煮屋の大女将と、ぐうたらピアノ講師のすったもんだの顛末。
滑稽噺か人情噺か。後者になるのかな。この世界も、アリだなぁ。
楽しい読書時間だった。

装丁、装画は南伸坊さん。

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by hey_leroy | 2018-08-14 21:47 | books | Comments(0)

いま道のべに

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『 いま道のべに 』  野口富士男 (講談社 1981年)

読了まで、時間がかかったなぁ。
途中で何度も投げ出そうと思ったけど、なんどか最後まで。

野口富士男(1911~1993)は、小説家。評伝も手掛けた。
自分が知ったのは、川本三郎の随筆にたびたび登場したから。
野口が著した「わが荷風」について語っていたのだと思う。

この本は、野口の人生に影響をあたえた町を歩き、その土地についての思い出もあわせて綴ったもの。
大森、神田、新宿、鶯谷、大崎、新橋、高田馬場。
今と昔の町の描写、文学仲間とのやりとり、思い出。
すべてが緻密で精緻で、しかもこちらの全く知らないことばかりで。
なかなかしんどい読書となった。
でも、文章には独特の枯れた情緒もあって。
この本をお供に町歩きをする人もいるという。
自分も歳を重ねたら、そういうことをやるのだろうか。



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by hey_leroy | 2018-07-09 21:56 | books | Comments(0)

諏訪の旅の余韻

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先月たずねた信州。
地酒のワンカップと、諏訪湖豆。
くらもと古本市で買った本をめくりながら。
ちょっと余韻にひたっています。

『 酔いどれ紀行 』  山口 瞳 (新潮文庫 1984年)

山口瞳が、同じ国立に住む芸術家のドスト氏を道連れに、様々な地へ。
長崎、浦安、倉敷、小樽、タヒチ、横浜などなど。
昼間は絵筆片手にスケッチ三昧。
夜は・・・いや、時には朝や昼からも、呑む、食べる、呑む。
名著「行きつけの店」の原型はここにあったのか。
魅力的な登場人物、旅もつまりは人と人。
面白可笑しく、時にキュンとくる。ジーンとくる。
山口節にヤラレル。


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諏訪湖豆。シンプルでやさしい甘さ。肴にもなる・・・と、思う。


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by hey_leroy | 2018-07-06 20:14 | books | Comments(0)

わが日常茶飯

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『わが日常茶飯 立ち飲み屋「ヒグラシ文庫」店主の馳走帳』
中原蒼二 (星羊社 2018年)


鎌倉の裏小町と大船にある、古本が買える立ち飲み屋、ヒグラシ文庫。
その店主というか当主というか、中原さんのレシピエッセイが上梓されました。
いわゆるレシピ集ではなく、分量などの記載はない。
食にまつわる随筆のなかに、作り方がでてくる。
平成の「檀流クッキング」か。
手がかからないもの、手が込んだもの。
食べたいものは、自分で作る。
ポテサラ、揚げづけ、しめ鯖、じゃが芋ロースト、新巻鮭の頭・・・
ふふふ。滋味深く、ちょっと斜に構えて、シャイさをうかがわせる文章。
ゆっくり読みすすめました。
星羊社さん、グッジョブです!


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by hey_leroy | 2018-06-23 18:10 | books | Comments(0)

かこさとしさん、やすらかに

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絵本作家、加古里子(かこさとし)さん。
5月2日に92才で旅立たれたと今朝の新聞で。
藤沢在住とは近年まで知らなかった。

本当に本当にお世話になった絵本たち。
「あなたのいえ わたしのいえ」や「とこちゃんはどこ」(作画のみ)は、読みすぎてボロボロ。でも捨てられない。
今年初めには、だるまちゃんシリーズの新作も出たり、まだまだご活躍と思っていたので驚きました。

平和への強い思いをお持ちだったことも、忘れずにおきたい。

今日は雨降り。仕事は休み。久しぶりにじっくり読み直そう。

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by hey_leroy | 2018-05-08 21:17 | books | Comments(0)

古本屋台

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『古本屋台』 Q.B.B.(作/久住昌之 画/久住卓也)2018年 集英社


首都圏に屋台って、まだ、あるのかなぁ。
八重洲のあそこは、もうないのかな。ラーメン屋じゃない方。
行ったことないけど気にはなってた。
目黒駅前にあったおでん屋台には四半世紀ぐらい前に酔って入った記憶がある。
江ノ島に渡る橋にあった屋台たちもなくなり。
横浜西口の川っぺりにあった屋台たちも去年とうとうなくなった。
ま、もう、あきらめてるけども。

それはそれとして。
久住さんのこの本。ひょっとしてひょっとすると名著かも!
・・・個人的趣向との合致具合がね~。

おでんやラーメンではなく、古本を積んで夜な夜な灯りをともす古本屋台。
呑みたい人には、さつま白波。ただし、一人一杯かぎり。
「うちは飲み屋じゃないんだから」
クゥ~ッ! おやじさんのキャラにしびれる。

岡崎武志さんや荻原魚雷さんがモデルとおぼしき常連さんたちも登場したり。

いいなあ。1話、見開き2ページ、12コマのオトナのオアシス漫画。
渋い。そして繰り返し読んでも飽きない。

なんだろ、これ。

名著だな、やはり。

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by hey_leroy | 2018-04-16 23:29 | books | Comments(0)

浅草風土記

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『浅草風土記』 久保田万太郎  (中公文庫 2017年)

久保田万太郎。小説家。劇作家。演出家。俳人。明治22年生まれ。昭和38年没。
僕の曾祖母と同じ年に生まれたんだなぁ。曾祖母は僕が社会人になった年に99歳で亡くなった。もっと話をたくさん聞いておくんだったなぁと思う。大正元年生まれの祖母、大正9年生まれの大叔父も長命だったから、いろいろ昔話を聞く機会はあったのに。

この本は、久保田万太郎が生まれ育った浅草の明治~大正~昭和の移り変わりを描いた本。いや、移り変わりというよりは、明治の浅草の鮮明な記憶の精緻な描写を元に、その後の風俗の変遷、震災や戦禍によって失われたものたちを記した本というべきか。

明治45年、学生時代に「三田文学」に寄稿した文章に始まり、大正半ばや昭和初期のものを主に収録、一部に晩年昭和30年の随筆も含まれる。実に長い年月にまたがった、浅草文集。浅草への賛美であり、鎮魂でもある。

しっとりと、こざっぱりと、つつましげな、昔の浅草。
久保田万太郎の文章も、そういう空気を孕んでいる。
こざっぱりと、というには少々湿っぽいところもあるけど、明治生まれが書く随筆にはそういうところがあるのかもと思ったり。ちょっとロマンティックだったりナルシスティックだったり耽美的であったり。

微に入り細に入りな浅草の描写は、自分にはさっぱりわからないけど、わからないなりにも何かを思わせたり、思い出させてくれたりする。そしてある種の感情をいだかせたりする。
あぁ、やっぱり大叔父に、下谷生まれで浅草神谷バーの大常連だった大叔父にもっと話を聞いとけばよかった。

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by hey_leroy | 2018-04-09 05:54 | books | Comments(0)

日没閉門


内田百閒の単行本を見つけると、ほしくなる。
もちろん安価であることが大事だけど。
藤沢の古書店で、目に留まった。
そう古い本ではない。
でも、かなり手ごろ。
自分の安い呑み代の1軒分よりもっと下。
なので、買いました。

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『日没閉門』 内田百閒 (新潮社 1971年)

百鬼園先生の没年と同じ発刊年月が同じなのでちょっと調べたら、存命中に作った最後の本なのだった。百閒の葬儀の日に、刷り上がった本作が棺に納められたのだという。


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紙の外袋を外すと、夫婦函がでてくる。普通のハードカバーの本とはずいぶん異なる体裁。
これは、気になる、、、


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で、こうなります。
(夫婦函って、こういうの。じつは自分初めて知った言葉)

丁寧に作られてるなぁ。
どうしても文庫で接する機会が多いので、単行本でゆっくりページを繰るのがうれしい。

表題作の「日没閉門」はすでに読んでいた。

世の中に人の来るこそうるさけれ
とは云ふもののお前ではなし
(蜀山人)

世の中に人の来るこそうれしけれ
とは云ふもののお前ではなし
(百鬼園)

諧謔、シニカル、いたずら心。。。
でも、嫌味や作為がないところが、時代を超えて読まれている所以のような。

最後に収められているのは未完の絶筆「猫が口を利いた」。
これも以前読んだことはあったけど、あらためて読み返して、グッとくるものがあった。
随筆と奇譚小説と猫愛と。。。百閒のエッセンスがホンの数ページに詰まっているような。
未完だからこその魅力。なんていうと贔屓目が過ぎるかな。

その他、あまり語らなかった郷里岡山での思い出も多く綴られている。

愉しい読書時間でした。







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by hey_leroy | 2018-03-18 21:26 | books | Comments(0)

弥生閑話


昼から、横浜でリハーサル。
リハ時間より打ち上げ時間の方が長いというお約束。


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付録の小冊子欲しさに、100万年ぶりにPOPEYEを買う。
平野紗季子さんによる「二〇十八年 東京味な店」。
凡百のグルメガイドとはまったく異なる次元の、ごはん愛がぎっしりつまった冊子。
みんなそれぞれの「味な店」を愛せよ、という啓蒙の書でもある。と思う。

POPEYE本体は、姪っ子に贈呈した。



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by hey_leroy | 2018-03-10 23:56 | books | Comments(0)

カマクラ散歩のお供に

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『鎌倉近代建築の歴史散歩』 吉田鋼市  (港の人 2017年)

古都鎌倉。寺社に目が行きがちだけど、歩いてみると、古い洋館や木造校舎、石造りの元銀行のバーなど、明治から昭和初期、戦後のものでも趣のある建物がそこかしこに。
・・・なぁんてことは、みなさまご存知の通りで。
鎌倉小町の踏切脇にあった朽ち果てた洋館とか、すでになくなったものも多い。
この本に載ってるなかでも、取り壊されちゃったのも幾つかはあるようで。
知ってる建物たくさん。
でも、わりと近所なのに知らなかった茅葺きの古民家もあるらしく。
公開されてるとこ、されてないとこ、店舗になってるとこ。
この本片手に散歩してみよう。
建築的価値云々は別として、いい風情の建物はこの本に載ってるところ以外にもまだまだ残ってるわけだし。
自分好みの風景、もっと見つけに行こう。


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by hey_leroy | 2018-03-10 21:42 | books | Comments(0)